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プレゼントエピソードのご紹介

お世話になった教授への退職祝いのエピソード

「お世話になった教授の退職」私が大学院生のときにお世話になった教授が退職されるということがありました。私はその教授に大学生のときから卒業論文や学会や研究内容などとてもお世話になっていました。また、教授も明るい性格で学生たちの面倒もよく見てくれてとても人気のある人でした。

お世話になったからこそ心のこもったオリジナルプレゼント

私たちはお世話になったので退職祝いに何かプレゼントを用意しようということになりました。みんなで連絡を取り合い、何をプレゼントするか相談しました。教授はお酒が好きだったのでお酒に関するプレゼントの案が中心になりました。単純にお酒だったり、時間が経ってもぬるくならない真空タンブラーや珍しいおつまみなどが案として上がりました。

しかし、ただ物を買ってプレゼントするというのも少し味気なく感じていました。メッセージを添えるにも色紙で良いのかも悩みました。「プレゼントの相談」みんなで相談しているうちに一人がお酒のオリジナルラベルを作ると言いました。その人はデザインを作ることができる人でした。今ではよく見かけるオリジナルラベルのお酒ですが当時はあまりありませんでした。なにやら難しいことをしないといけないのかと思いましたがみんなでデザインを決めればその人がデータを作ってくれることになりました。

ラベルに使うのは家庭用プリンターでも印刷できる写真シールですることになりました。それからはデザインを考える人とお酒を買いに行く人で別れて行動しました。スムーズにデザインも決まり、教授が好きなお酒もわかっていたのですぐに買うことができました。ラベルも貼り替えて無事にオリジナルラベルのお酒が完成しました。「プレゼントの作成」お酒のラベルを作ると同時にメッセージはどうするのかも話し合いました。話し合った結果はお酒のボトル自体に書き込んでしまおうということになりました。プレゼントを渡す当日にみんなで早めに集まってボトルにメッセージを書き込みました。

当日に来られない人には先に書いておいてもらいました。遠くに引っ越して来られない人にはメッセージだけもらって代わりに書きました。これで世界に一つのオリジナルプレゼントが完成しました。「プレゼントを渡す日」教授にプレゼントを渡す日は仕事納めの日ではなく、その後日に研究室の整理などの用事で学校に来る日にしました。仕事納めの当日は他の教授たちや学校側といろいろあって大変だろうと思ったからです。完成したボトルを持って教授のところへ行きました。

何も伝えずに大勢で押し掛けたので驚かれました。感謝の言葉を添えてプレゼントを渡すと教授は泣いて喜んでくれました。それを見てこちら側も何人か泣いていました。また、教授から多くの人から退職祝いの言葉やプレゼントをもらったが泣いたのはこのときだけだったそうです。「その後」それから十数年ほど経って教授は病気で亡くなられました。

私は友人たち数人とお線香をあげに行った際にプレゼントしたボトルが供えてありました。娘さんから聞くとこのお酒はもったいないからとなかなか飲まなかったそうです。プレゼントを渡した翌年の自分の誕生日のときに飲んだそうでした。空いたボトルは手で触ってメッセージが消えてはいけないと触らずに大事に飾っていてくれたそうです。たしかに私たちは喜んでもらえたらという気持ちでこのお酒をプレゼントしました。しかし、ここまで喜んでもらっていたとは思いませんでした。今までお世話になった感謝の気持ちを伝えるためのプレゼントでしたが最後にはプレゼントを大事にしてくれた教授の気持ちに感謝しました。